麹作りのこと ③ 〈蒸しと種付け〉

3回目になりました麹作りのこと。今回は洗米したお米を浸漬した翌日の作業です。

ここからは手が離せない作業になります。三七味噌は基本的に1人で運営をしているため、定休日やお店を閉めてから行っています。

まずは浸漬用容器の水を抜いてしっかり水を切ります。お米の表面に水が滴った状態ではうまく蒸しあがりませんので、時間をかけて水切りをします。麹菌は水分に向かって菌糸を伸ばしていく習性があるので、お米の芯には水分を含み表面は乾いている状態にすることが大切です。繁殖の過程でお米に菌が根付くことを破精(はぜ)と言い、破精具合をコントロールするのが麹作りの難しさであり魅力でもあります。

水切りをしている間は器具の殺菌消毒を行います。種付けを行う際に蒸し米を広げる揉み床、揉み床に敷く布、杓文字、発酵機など全てです。使った後片付ける際と使う前の2回、パストリーゼ(77%のアルコール)を使用して行います。菌を繁殖させる環境の基本は高温多湿。ということは、麹菌以外の菌も繁殖しやすい環境ということになります。雑菌も同時に繁殖させてしまうと食中毒などの原因になってしまうのですが、実は甘酒や味噌の加工品は加工する過程で殺菌されます。甘酒は60℃で8時間という環境、味噌は塩を加え発酵させる過程で食中毒で心配される菌に関しては殺菌されることがわかっています。三七味噌では食品微生物センターで米麹の検査を行い、大腸菌、黄色ブドウ球菌などに汚染されていないことを確認していますので、米麹をそのまま口にしても安全な品質で製造しています。

麹作り、味噌作りの失敗は納豆菌によるものも心配されます。納豆菌は空気中にも存在しますが、アルコール、塩素、100℃の煮沸でも生き残り、納豆菌が好む繁殖環境下では1個の菌が16時間後に40億個まで増える強力な菌です。「味噌作り、麹作り当日に納豆を食べることはお控えください」というのは大げさなことではないんですね。

さて、水切りと殺菌消毒が終わった後はセイロを使ってお米を蒸します。三七味噌では42センチの角セイロを4段使用し、電気蒸し器で蒸気を発生させます。蒸し時間でお米の水分量が変わってきますので、最上部から蒸気が出てきてから45分、タイマーを使用して時間を計ります。時間になったら蒸し米を揉み床に広げ扇風機で風を送りながら杓文字でほぐしていきます。お米を冷ますと同時に表面の水分を飛ばすのが目的なので意識しながら均一に混ぜます。ある程度冷めてきたら杓文字から手に切り替えてさらに水分を飛ばしながら冷まします。

蒸し米の温度が35℃程になったら種付け。前々回紹介した菱六もやしの改良長白菌の出番です。セイロ2つ分の蒸し米に対して茶漉しすり切り1杯分麹菌を使用します。扇風機を止めてお菓子に粉糖をかけるような感じでお米全体に少しずつふりかけていきます。一粒一粒にしっかり菌を付けるイメージで揉み床にこすりつけるように全体をよく混ぜます。ある程度馴染んだら再び風を送り水分を飛ばしながら混ぜます。

均一に混ざって30℃程になったら発酵機の中に入れて保温するため布で包みます。昔ながらの製法では麹室という専用の部屋で作業を行い、麹蓋と呼ばれる杉でできた箱状のものに移し変えて麹菌を繁殖させますが、三七味噌には麹室がないため密閉式の発酵機を使用しています。発酵機への引き込みが終わったら、種付けをした蒸し米の中と機内に温度計を設置して約12時間、温度と湿度を調整して菌の繁殖を待ちます。

麹作りのこと、次回も続きます。

麹と味噌とワークショップの三七味噌

三七味噌は福井県福井市にある2017年創業の 味噌、麹製造所兼店舗。 手作り味噌、麹、甘酒、塩麹の販売、 味噌作り、甘酒作りのワークショップも 開催しています。 味噌作りワークショップは容器、材料費込みで 1kg/1,500円~、甘酒作りワークショップは1,500円~ 店舗、公民館、学校、自宅などへの 出張ワークショップも受付中です。 お気軽にお問い合わせください。

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